朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.49           菓子工房KAMATAのシュークリーム
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お店DATE
■菓子工房 KAMATA
平字小太郎町3-1          電話/22-0141
時間/10:00〜19:00       定休日/火曜日
●シュークリーム…………189円
●モンブラン………………262円
●レアチーズケーキ………262円
●かぼちゃプリン…………315円
●焼き菓子…………………105円〜
●小太郎乳菓………1個200円/6個1,200円

変わらない姿勢と変えない勇気と…
洋菓子専門店の先駆けとして15年
■母のすすめに応えて洋菓子職人を目指す
 サックリかつしっとりした、シュー皮。一口ほおばると、なめらかなカスタードクリームがとろりと溶け出す。「懐かしい味」と思わせるシュークリームはオープンから15年、値段も大きさも味もほとんど変わっていない。「小学生の時に食べたあの味と同じ感動を、いつまでも味わっていただきたいんです」とオーナーの鎌田利男さん(47歳)は話す。
 昭和34年、千葉県松戸市生まれ。もともと食べることが大好きだった彼が、洋菓子に目を向けたのは高校時代のクリスマス間近の頃。〈ヤマザキ〉の工場でケーキ作りのアルバイトをし、その楽しさに目覚めた。「手に職をつけた方がいい」という母親のすすめもあり〈東京製菓学校〉に進んだ。卒業後は数々の著書を持ち、料理番組にも出演している森山サチ子氏に師事し、荻窪の〈Fussen〉で7年間修行。洋菓子の基礎から応用までを身につけた。その後、盛岡の洋菓子店を立ち上げから関わり2年間勤務。30歳の時に母親の故郷であるいわき市に移転した。そして平成4年、念願の店を現在の場所にオープン。
 「いわきは東京に近いのに洋菓子に関しては未開拓。だからこそ成功すると思ったんです。」しかし、他店より小ぶりなのに値段も高めだった〈KAMATA〉のケーキが受け入れられるには、少し時間を要した。
↑開店当時から人気商品の「モンブラン」「チーズケーキ」「かぼちゃプリン」
■待つだけではない また動き出す
 開店当初は仕込み・仕上げ・接客・掃除をほぼ一人でこなした。しかし辛いと思ったことはなかった。「専門学校時代、周囲は親が菓子店で、継ぐために学んでいる人がほとんどで、私のようなサラリーマンの息子は数える程でした。そんな中で店を出して、夢が実現しただけでありがたいと思いましたからね」
 やがてその味が認められ、ファンはどんどん増えていき、人気の商品は売り切れるほどまでになった。今では彼の他にパティシエとパティシエール2名が勤務し、〈KAMATA〉の味を守り続けている。
 最近では洋菓子は「スイーツ」、女性の洋菓子職人は「パティシエール」と呼ばれ、女性でも進出しやすくなった。華やかなデザインを創りだす女性の感性には驚かされることもあるという。
 一昨年末、元女性スタッフの一人が独立し、いわき駅前に店をオープンした。また、ここ最近いわきに洋菓子店が増えてきたことも楽しみだという。「これからの若い力には期待しています。でもまだまだ抜かれない自信がありますからね」と余裕の笑顔を見せてくれた。そして、近い将来には2店舗目を構えることを目標としている。「お客さんを待つだけではない。また動き出してみようと思うんです」頼もしい答えが返ってきた。
↑オーナーの鎌田利男さんは身長185cmの長身。現在独身。「仕事が奥さんです」と笑う
■毎日表情を変えるシュークリーム
 鎌田さんが開店当初から毎朝行っていることがある。それがシュークリームにカスタードを絞る作業。グラムを計らなくても感覚でわかるという。シューはキャベツのようにほっこりと丸く仕上がるのが理想だが、毎日一つとして同じ形の物ができることは無い。完璧なシューができ上がるとオーブンから出した時に「キンキン」と金属を鳴らしたような音が鳴り、シューの底中央にぽっこりふくらんだおへそができる。「シューの皮を見ただけで作った人の体調や気分までわかってしまうんです」という程、毎日気を抜けないのがシュークリームなのだ。
 シューの皮は、バターと水、小麦粉、卵といたってシンプルな材料を使うだけに、新鮮で安全な地元素材を使用している。また、クリームには新鮮な地養卵、木村牛乳のパスチャライズミルク、ナカザワの生クリームを使用し、濃厚ながらもすっきりとした後味。一つひとつに鎌田さんの思いが詰まったシュークリームは、時代に流されず、優しくてほっとする味がした。
↑これが上手に焼けたシューにできる「おへそ」

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