朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.65           翠月園の
エビあんかけチャーハン
お店DATA
翠月園
住所/平下神谷字南一里塚14-4
電話/34-7911
営業時間/11:00〜21:00
定休日/水曜日
●エビあんかけチャーハン…850円
●五目焼きそば………………800円
●レバニラ炒め………………500円
●餃子〔大〕………(1個)110円
●ジャンボ肉まん……………250円
http://www.suigetsuen.net/

お客の笑顔を最優先で守り続けて24年
皆に愛される安くて美味しい中華料理店
■貧しい下積み時代から築いた人気の中華料理店
「本当にうまい店は誰にも教えたくない」。まるで家にいるようにくつろげ、値段も安い。素材にもこだわり、本格的中華の味を提供している知る人ぞ知る店。
具だくさんの五目焼きそばや味噌ラーメン、とろけるほどやわらかい豚バラやわらか煮など一度食べたらその味の虜になってしまう。
 オーナーである志田和由貴さん(56歳)は久ノ浜町出身。昭和27年元旦、3人兄弟の長男として生まれる。地元の高校を卒業後、趣味の写真が生かせる千葉の〈フジフィルム〉に入社。しかし、サラリーマン生活は肌に合わずすぐに退社した。仕事を探していたある日、中華料理店に貼られた求人募集を見つけた。「たまたま最初に目に飛び込んだのがそれだったんです。もし、洋食屋だったら今頃違う人生を歩んでいたかもしれませんね」と笑う。皿洗いからの厳しい見習い生活。しかし、仕事がある幸せ、住み込みの環境がある安心感。早く一人前になるために黙々と働いた。22歳でいわきにUターン。6年間(今は閉店してしまった)北京料理の名店〈廬山〉で、味の基礎を学んだ。
 そして、31歳で独立し、〈翠月園〉を開店。最初の5年間、従業員はホール担当のパートのみ。目がまわるほど忙しく、仕込みのために深夜2時を過ぎる日々。時間もお金もなく、友人からの誘いも断るしかなかった。そんな努力が実り年々客足が伸び、従業員も増えた。現在では厨房3人、ホール係3〜4人みんなで力を合わせ店を支えている。
↑看板商品の「ジャンボ肉まん」。具だくさん、かつ牛乳で練った生地が絶品
■客のリクエストから誕生エビあんかけチャーハン
「エビあんかけチャーハン(850円)」は味・ボリュームともに大満足の店一番の人気メニュー。新鮮なねぎと卵黄をふんだんに使い、絶妙な調味配分で味付けされたシンプルなチャーハンに、大きなエビ、ズワイガニ、カニかまぼこ、えのき、風味付けの三つ葉が入り、仕上げに卵白をすばやくあんに溶きこむ。あっさりとしながらもコクのある塩味あんをドッとかけて完成。このメニューが生まれたきっかけは、常連客の「中国で食べたスープチャーハンがもう一度食べたい」という強い要望からだった。客の話だけをたよりに、試行錯誤しながらやっと完成させた。当時ではその物珍しいチャーハンの味はたちまち噂になり、いつしか定番メニューに。
 彼は食材にもとことんこだわる。野菜は信頼している地元契約農家から仕入れた低農薬野菜のみを使用。肉も長い付き合いの肉店4ヵ所から常に一番良いものを厳しい目で選び抜いている。中でもレバニラ炒めのレバーは新鮮さからか、臭みが全くないのには驚きだ。他にも看板メニューである「ジャンボ肉まん(250円)」は保存料・化学調味料不使用の体にやさしい手作り肉まん。その分、賞味期限は長くはないが、素材本来の旨みを活かし、自然の色、おいしさを存分に味わえる。小皿料理を売りにしているだけあり、その数50種類以上。どれも550円前後でかなり安い。お替わり自由なライス・スープに杏仁豆腐・お新香が300円でセットとしてつけることもできる。
 
↑小皿料理は550円前後と格安。大きな餃子と春巻きは1個から注文可能
↑古き良き時代の雰囲気が漂う店内。テーブル席の他、座敷が4つある
■変えないことへの勇気安心できる空間と価格
 志田さんはいわき調理師会「きさらぎ会」が27年前に発足した当時からのメンバー。ボランティアで施設等に出向き料理をふるまったり、料理人を目指す若者たちを育てるために料理研究会などを行っている。料理人の道は厳しく、すぐに辞めていく若者は数知れず。けれど、長く続けていれば楽しいこともたくさんある。「ポイポイ夢を簡単に諦めたらもったいない。天職かどうかなんて10年ぐらい続けないとわからないものだから」と若者たちにエールを送っている。
 材料費が高騰している現在、価格を上げないことは正直、死活問題。けれども苦しいのはお互い様。食べに来てくれるお客さんの笑顔を見ると、どうしても価格を上げられないそうだ。
 テイクアウトもしており、「アツアツを食べて欲しい」という気持ちから出来上がりを見計らって電話連絡をしてくれる。店には「いらっしゃいませ」と明るく迎えてくれるいつものおばちゃんの声。1人でも、大家族でも、誰もが居心地良く食事ができる。そんな温かい空間をこれからも変わらず守り続けて欲しい。
↑研究熱心で創作料理が得意な志田さん。世界各国のスパイス集めが趣味

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