朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.68
地魚料理・手打ちそば 舟むら
お店DATA
■地魚料理・手打ちそば 舟むら
住所/平字新田前3-18
電話/21-9039
営業時間/11:00〜14:00/17:00〜22:00 (オーダーストップ21:30)
定休日/火曜日
ランチ
●味かたりそばとミニ丼セット(天丼、なかおち丼、うに丼他)1,115円〜
●れたすバーガー……………300円
●刺身膳(茶碗蒸し・デザート付き)1,575円
※夜は季節の魚など一品料理多数

和食を知り尽くした主人が作る鍋
コラーゲンたっぷりの愛が詰まった逸品
■負債を抱えての開店 家族と周囲の協力に感謝
「酒は友 音楽は母」と書かれた色紙。作曲家・船村徹氏自筆の書である。屋号の「舟むら」は文字通り氏の名前から命名した。平白銀町にオープンした小さな店は20余年経った今、宴会のできる郊外店として大きく成長した。
 店主の鳥居塚公雄さんは昭和30年いわき市平生まれ。土建業を営む父親と旧家の母親の間に生まれた4人兄弟の末っ子。高校入学するもすぐに学校を辞めたいと思うようになり、反対する親を説得するために就職先を自分で探した。それが料理人の道への入り口だった。平の寿司店に2年間勤務後、18歳で上京。都内の寿司店に入った途端、実力の差に愕然とした。「2年間一体何をしてきたんだろう」と反省。主人が仕入れてきた魚を弟子同士奪い合いながら仕込みをした。そして1年後にはいわきへUターン。ところが飲食業とは全く異なる事業を立ち上げ、失敗。450万円の負債を抱えてしまった。「やはり天職で勝負するしかない」と25歳で和食店に勤務。いくつかの店で腕を磨いた。最後に勤めたところでは、2年間で売り上げを4倍にするという実績を作りあげた。自信をつけた彼は昭和62年、32歳で独立。負債もあり貯金もない状態にもかかわらず、開店できたのは23歳で結婚した良江さんと周囲の協力があってこそだった。
↑こちらも舟むらおすすめの「海鮮寄せ鍋」。蟹、海老、牡蠣、つぶ貝、帆立など7品の海鮮と季節の野菜がぎっしり。魚のすり身のつみれは手作り。鍋は大・中・小があり、一鍋4,200円〜
■相次ぐ開店の中で心身共に疲弊して
船村徹氏は広告代理店の社長を通じて紹介され、いわきでイベントがある度に店に寄った。冒頭の色紙はその中で寄贈してくれたものだ。「氏のお墨付きでオープンしたからには、単なる和食ではなく何か独自性のあるもので勝負したい」とすっぽんをメニューに取り入れた。一鍋8、000円という金額は決して安くはなかったが、珍しさが話題を呼び、店は繁盛した。魚料理はもちろん、土用の丑にはうなぎ、冬にはふぐと季節感も取り入れ、仕入れも仕込みも一人でこなした。
 そば好きのご主人はいつか店でそばを出すという夢も持っていた。他店を食べ歩くたびに「自分だったらもっとおいしく作るのに」と野望を抱いた。そこで近隣のそば道場で体験をし、あとは独学で研究した。そして平成6年7月、店の近隣にそばと定食をメインにした〈竹むら〉をオープンさせた。そして平成9年には〈いわき・ら・ら・ミュウ〉が開設され、〈竹むら〉の2号店を出店。翌年には〈草野心平記念文学館〉の敷地内にも出店し、良江さんと共にフル稼働の毎日となった。寝る時間も考える余裕もない生活に「このままでは倒れてしまう」と平成12年には〈舟むら〉を一時休業することにした。
↑開店後初めて船村徹さんが店に訪れた時のスナップ。左が奥様・良江さん
↑ご主人・鳥居塚公雄さん。趣味はゴルフ。歴30年の腕前もお見事だ
■財産として店を残すため 「舟むら」を復活
 「20年間店をやってきて何一つ形に残していない」と思い始めたご主人。いつかは自分の財産としての店を持ちたいという思いを叶えたのが、昨年6月。いわきサティの近くに土地を求め〈舟むら〉を甦えらせた。宴会ができる座敷もあり、個室に区切れる小上がりとカウンターがある。そばを打つ専用の小屋もある。北海道産のそば粉を使った二八の手打ちそばはコシもあり、人気のメニュー。この秋からは息子さんも一緒に働く予定だ。
 すっぽん料理も復活した。すっぽんは生け簀で生かしておき、注文が入ったら捌く。甲羅をはずすと固い骨があり、それを包丁で叩くように切る。これは牛の骨を砕く時に使う牛刀で、20年来メンテナンスを重ねながら大切に使っている宝物だ。すっぽんは湯でゆがいた後、皮を剥いて、鍋で煮込む。すっぽん鍋は小鍋(1〜2人前)4、200円、中鍋(3〜4人前)8、400円、大鍋(4〜5人前)12、600円の3種類。鉄分とコラーゲンたっぷりのすっぽん鍋を食べた次の日は肌がツルツルになると評判だ。
 この店を出るときにはきっと温かい気持ちになるだろう。それはおいしい料理で満たされることはもちろん、人の輪がつないだ歴史と家族愛によるもの。寒い冬に訪れたい、そんな店である。
↑和風の落ち着いた佇まいの外壁。駐車場も広く停めやすい

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