朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.70
鳥留の「とりのたたき揚げ」
お店DATA
■手づくりの店 鳥留
住所/平字三町目35
電話/0246-21-3762
営業時間/10:00〜18:00
定休日/日曜日
【MENU】
●コロッケ…………………120円
●メンチカツ………………140円
●カマンベールチキン……120円
●味噌カツ…………………100円
●串カツ……………………110円
●手羽…………………80〜90円
●唐揚げ(100g)………250円

創業95年老舗の鶏肉専門店
親子二人三脚で守り通したこだわり
■闘鶏場からのスタート 下処理に苦労した時代
鶏肉の惣菜ではここが一番」と多くの人が認める店。2年ほど前までは狭い路地の一角にあった。〈ラトブ〉のオープンによって三田小路が拡張され、周辺の風景は一変した。人通りも増え、新しい店も増える中で〈鳥留〉は古き良き時代の雰囲気を残しつつ、コツコツと地道に商売を続けている。
 大正10年創業。街には人力車が走る頃、初代・篠原留吉氏は、好間町で闘鶏場を経営しながら、しゃもを食用としても売っていた。昭和の初め頃になると、養鶏場もできコンスタントに鶏肉が流通されるようになり、現在ある場所で食肉販売をスタートした。当時は羽や首がついた鶏を手作業で下処理をした。時間がたつと羽がむしりにくくなるため、どんなに疲れていてもその日に作業を終えた。「今では考えられないほどの重労働でした」と語るのは、嫁いでから50年以上店を切り盛りしている篠原満枝さん77歳。残念なことに3代目である篠原昭夫さんが糖尿病を患い、60歳という若さで他界。闘病中からずっと、妻である満枝さんが献身的な介護をしながら店を守ってきた。
↑鶏もも肉をその日使う分だけ、ていねいに手作業でカットする
■4代目の帰省に伴い 惣菜の製造販売を開始
現在4代目の篠原良夫さん(52歳)。人当たりが良くどこかほっとさせる人柄。忙しい揚げ作業中も「いつもありがとねー。またきてね」と客への気遣いは欠かさない。良夫さんは3人兄弟の末っ子として育ち、高校卒業後、上京。もともと料理が好きだったため、調理学校へ通うも、ひょんなことから演劇に魅せられ、20〜32歳までは芝居の世界で生計を立てていた。その後はステージを降り、大道具や照明など裏方業務にあたっていたが、離婚を経験し演劇からもすべて身を引き、平成4年に家業を継ぐことを決心。「継いでくれて嬉しかったですね。心強いです」と満枝さんは少し涙ぐんだ。今までは鶏肉販売のみだったが、良夫さんが帰ってきたことをきっかけに「手作りの店」として惣菜コーナーも設けた。
 手羽や唐揚げなどの鶏をメインにコロッケやメンチカツなども並んだ。「冷めてもおいしい」が売りの手間暇かけた手作り惣菜。「ジューシーな食感とシンプルな味付けがおいしい」という店の評判は徐々に広がっていった。
↑4代目の良夫さん。「今日は何にしよっか?」と笑顔で話す気さくな人柄
■材料は国産だけを使用 手間暇かけた手作りの味
 商品は全部で8種類。今では揚げたてを求め、お昼や夕方頃には常に行列が出来る。中でも、鶏を叩いて荒みじん切りの玉ねぎ、にんにくの芽を入れて揚げた「とりのたたき揚げ」は、店の看板メニュー。鶏メンチとは少し違い、鶏もも肉をサイコロほどの大きさに切っていく。皮が苦手な人でも細かくなっているので食べやすい。一口噛んだとたんジューシーな肉汁が飛び出し、鶏の歯ごたえも絶妙。「玉ネギでも肉でもね、手間をかけたほうがずっと美味しいものができるの」と満枝さん。甘みが強い北海道産の玉ネギを1日50個ほど慣れた手付きで切っていく。味付けはシンプルで、塩・こしょうのみ。
 材料にもこだわりを持ち、全て国産を使用。脂がのったやわらかい食感の五穀鶏は、長年取引している青森・岩手県の養鶏場から。店頭でも販売している濃厚な玉子は夏井の契約養鶏場から。生パン粉やメンチカツに使用する豚肉は市内の専門店から仕入れる。そして、カリッと香ばしく揚げる油は菜種サラダ油。こまめに什器から抜いて、濾す。最低でも週に2回は新しい油に交換している。「美味しいものを作ってお客に喜んでもらう。従業員みんなが仲良く働き、食べることに困らなければそれで充分」と篠原さん親子は口を揃える。4人のスタッフは勤続40年〜50年以上のベテランばかり。毎日、店の奥のちゃぶ台を囲みながらお母さん特製のまかない飯を食べている。
 今後店を拡大する予定は?とご主人に尋ねると、「自分たちができる範囲でやっていきます。広げすぎると色々手が行き届かなくなるし、味も変わってしまうので。ただ、このボロ屋もだいぶ傷んできてるので春先に少しだけ直す予定です」と笑った。窓越しに、毎日せっせと働いている姿が見えるこの店には、何年たっても変わらないであろう温もりが漂っている。揚げたての惣菜をかかえ家路を急ぐ人の顔もどこか優しげだった。
↑客はいつもひっきりなし。お目当ての商品がまだ残っている時はラッキー

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