朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

HOMEこの逸品TOP>vol.71

vol.71
グリル越田和の
「ガーリックハンバーグ」
お店DATA
■グリル越田和
住所/東田町1丁目14-15
電話/0246-62-2062
営業時間/11:00〜20:45(OS)
定休日/水曜日
【MENU】
●ハンバーグステーキ…………950円
●ガーリックハンバーグ………950円
●ミラノミックスガーリック1050円
●タンシチュー定食…………2000円
●ポークソテー………………1600円
●ランチ(11:00〜14:00)790円〜

ハンバーグ専門店として36年、
アツアツ、ジューシーな味を守り続けて
■大学を辞めて料理人へ 早朝から深夜まで勤務
ハンバーグといえば〈越田和〉と言われるほど市内でも有名な店。創業は昭和47年に遡る。店主の越田和俶充さんは、昭和17年常磐生まれ。少年時代は野球選手になることが夢だった。磐城高校卒業後は東洋大学工学部に進学し、埼玉で学生生活を送る傍ら、レストランでアルバイトをした。それまで料理には全く興味がなかったが、厨房も手伝うことでその楽しさを知る。卒業を間近にして料理人の道を志すべく、大学を辞め、東京の有名結婚式場に修行に入った。当時21歳だった彼の上司は中卒で就職した17、8歳。「大学のインテリが来る場所ではない」と言わんばかりに、野菜の下処理や洗い物など単純だけど重労働しかさせてもらえない日々。「ここで負けてたまるか」と彼は早朝4時に一番乗りで出勤し、夜は日付けが変わる頃まで働いた。そんな生活を3年間続け、少しずつ周囲にも認められるようになった。勤務して7年、そろそろチーフになってもおかしくない頃であったが、限界を感じ始めていた。「自分には美的センスが無く、フランス料理には必要不可欠な盛りつけが全然だめだったんです」勝負できるのは味しかない、そう確信した彼は独立を決意。当時流行していた「ハンバーグ」の専門店を目標とした。東京の人気店を食べ歩きをしながら味の研究を重ね、長男ということもあり、いわきへUターンした。 
↑薄いピンク色の外観と大きな看板が目印。裏にも駐車場がある
■ハンバーグって何? 認知度の低さに苦労
県議会議員だった父は息子を県庁に入れるのが夢だった。料理人の道を志した時は反対していたが、独立に対しては好意的で物件探しなどの応援をしてくれた。植田の駅裏に10坪程度の空きテナントを見つけ、1階を店、2階を住まいとして奥様の恵子さんと一緒に移り住んだのが昭和47年。店名は〈キッチンハンバーグ〉とし、デミグラスハンバーグ1種類のみで営業を開始した。しかし、東京では流行っていてもいわきでは「ハンバーグ」を食べたことがない人の方が多い時代。決して好調な滑り出しとは言えなかった。また、折角来店したお客もデミグラスソースが物足りないのか、しょうゆやトンカツソースをかけて食べる始末。最悪商売替えも考えたが、2〜3年が過ぎた頃からだんだんと浸透し、メニューも少しずつ増やし、軌道に乗り始めた。「開店の1年前にお見合をし、何も知らずに嫁いだら、洋食屋のおかみさんになっていました。おかもちを下げて出前を届けにいくのがとても恥ずかしかったですね」と恵子さん。当時はたった二人で店を切り盛りしていたため、店と子育ての両立、ご両親の世話でとても大変だったという。
 店には駐車場が無く、時代の流れと共に不便さを感じていた。そんな時、区画整理によって「東田町」が誕生することとなり、昭和62年夫婦の夢だった郊外に店を移した。店名も〈グリル越田和〉に改め、広々とした空間に生まれ変わった。
↑箸でも切れる柔らかいタンとデミグラスソースが美味の「タンシチュー」
↑鉄板で蒸し焼きをするのが越田和の柔らかくジューシーなハンバーグの決め手
■オージービーフと国産豚
ジューシーさの秘訣とは
 現在ハンバーグは8種類。「気軽な洋食店」というコンセプトを崩さず、950円という低価格で提供するため、牛肉は信頼のおける肉店から仕入れるオージービーフと国産豚を7‥3でミックスしている。野菜は新鮮な国産を使用。たまねぎはみじん切りにして軽く炒め秘伝のスパイスと共に肉と混ぜ合わせる。オーダーが入るごとに手ごねで成形し、表面を強火で、白ワインで蒸すように焼く。それが旨みを封じ込めジューシーで柔らかいハンバーグに仕上げる秘訣。デミグラスソースは牛スジ肉をたっぷりの野菜をオリジナルのスパイスソースでじっくり煮込む。まったりとコクがあるが、ハンバーグの引き立て役として主張しすぎない丸みのある味だ。
 俶充さんは長年の功績を認められ、昨年、食品衛生事業功労者厚生労働大臣表彰を受けた。また、食品関係の要職を複数兼務し、忙しい日々であるが、毎日欠かさず厨房に立つ。白いコック帽をキッチリとかぶり、食材と向き合う。36年間繰り返してきたことであるが、いつも気持ちは初心に返るという。「店をここまで続けてこれたのは、ひいきにしてくれたお客様と大変な時期を共に乗り越えてくれた妻の支えがあってこそ」そんな思いが詰まったハンバーグは真冬の寒い夜、心まで暖めてくれるだろう
↑ご主人と奥様・恵子さん。花好きの奥様が毎日生花を飾る明るい店内で

| お店の推薦・クチコミ投稿 | プライバシーポリシー | 広告掲載について | お問い合せ |
(C)image Co.,Ltd. All Rights Reserved.
有限会社いまぁじゅ