朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.73
たい焼き一筋たっぷり庵の
「たい焼き」
お店DATA
■たい焼き一筋 たっぷり庵
住所/いわき市平字三倉62-1
電話/0246-23-0181
営業時間/9:30〜20:00
定休日/無休
【MENU】
●小倉………………115円
●クリーム…………115円
●白あん……………115円
●小倉チーズ………150円

行列のできるたい焼き店として10年、
愛情たっぷり!はみでる美味しさを提供
■様々な職種を経験し 辿り着いた一つの答え
 その名の通り、アンやクリームがはみ出るほどたっぷり入った型破りのたい焼きをご存知だろうか。店の前にはいつも行列ができ、BGMには『およげたいやきくん』が流れている。
 「この金額でコレは得した気分!とお客さんが満足する顔を見るのが好きなんです」。笑顔で話すのは店の主人、石上記光さん。頭はいつもツルツルに剃り上げ、ねじりハチマキがトレードマーク。
 昭和48年生まれ。姉と妹の3人兄弟の中で育った環境のせいもあってか、料理や裁縫も好きな少年だった。高校を卒業後、以前から興味のあった服飾関連の地元企業に就職。そこで奥様の久美子さんと出逢い、21歳で結婚した。仕事も家庭も充実した日々を送っていたが、彼には夢があった。それは料理人への道。その実現のため22歳で会社を辞め、レストランなどで2年間勤務するが、家の事情で家業のふとん店を手伝うことに。しかし心の片隅では食に携わる仕事で独立したいと考えていた。
↑いわきサティ近くの一二三屋入口にあり、たいやきソングが流れてくる
■ピンチはチャンス!? 大黒屋の倒産、独立へ
 ある朝、何気なく求人広告を眺めていた。すると大黒屋の敷地内にある全国チェーンのたい焼店〈くりこ庵〉の店長募集の文字が目に止まった。「場所もいいし、コレしかない!」甘いものが好きで手先の器用さには自信があった。これが転職する最後のチャンスだと信じ、すぐに面接を受け採用に。本社がある横浜で研修を受け、作り方や経営のノウハウを一から学んだ。売り上げは右肩上がり。大黒様の宝くじを求め、1時間以上並ぶ人々の行列と同じ長さの行列を店の前に作った。
 店長として3年が過ぎた頃、事件は起きた。大黒屋が突然倒産したのだ。その日の朝、いつも通り8時に店に入ると何か異様な空気を感じた。宝くじ売場に並ぶ人の姿もなく、シャッターも全て閉まっている。社員の一人に「何事ですか?」と聞くと苦い表情で首を振り、指をバッテンにして見せた。その時の光景がいまだ脳裏に焼き付いて離れないという。パートとアルバイトは全員解雇となり、その後、彼は地方の催事売り場でも勤務していたが、一人ぼっちのたい焼き販売はどこかしっくりこない。いつか独立したいという気持ちはあったものの、すぐに店を出せる資金もなく、半ば諦めかけていた。そんな折、一二三屋の敷地内にたい焼き屋をオープンさせる計画があり、声がかかった。建物と什器を提供するという好条件。「ピンチはチャンス」という言葉がまさにピッタリだった。
 店名も〈たっぷり庵〉に変え平成13年9月に念願の独立を果たした。「大黒屋が倒産したことはショックでしたが、結果として独立への後押しになりました。今でも支援して頂いた方には感謝しています」。大黒屋で共に働いていたパート従業員にも声をかけ、離れ離れになったスタッフ全員が揃った。
↑ズラリならんだ機械は16連もある。店内は夏場は60℃にもなるという暑さ
↑左から小倉チーズ、クリーム、白アン、小倉。どれも具がたっぷり!
■個性豊かなスタイルと 話題の季節限定メニュー
 以前は規定のたい焼き以外作れないというジレンマがあった。〈たっぷり庵〉になってからのたい焼きは仕入れ先、作り方を変え、さらに種類も増えた。「実はうっかり閉じ忘れたことがきっかけなんです」という斬新なサンドイッチスタイル。焼きたては外側がパリパリで香ばしい。中にはたっぷりのアンやクリームが通常の1.5倍は入り、持つとズッシリ重い。自家製ではないが、アンは製アン所に砂糖の量や固さなど、配合を特別オーダーしている。中でも珍しいクリームチーズ入りの小倉チーズは癖になる旨さ。チーズが溶け出ないよう衣は閉じてあり、バーガー紙にくるんでおくため、生地はしっとりフカフカ。季節限定品も数年前から増え始め、2月はチョコレート味、5・6月はピザ味、7・8月は海鮮お好みたい焼きなど一年を通して楽しめる店になった。3月からは春らしい桜アンが店頭に並ぶ。
 食べ歩きが好きで、常にアンテナを張り巡らせ、どんな食材が合うか日々模索している石上さん。「高くておいしいのは当たり前。限られた金額でどれだけ満足度の高いものを提供できるかが永遠のテーマですね」。職を転々としてきた彼にとって、店名に『たい焼き一筋』と付け加えたのは、一生この仕事を貫き通すという自分への覚悟。今日もホカホカのたい焼きを求め、たくさんの人々が行列を作る。
↑内助の功で支え続けた奥様・久美子さんと。おだやかで優しいお二人

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