朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.74
グランターブルの「パン」」
お店DATA
■グランターブル中央台店
住所/いわき市中央台鹿島3-39-5
電話/0246-31-0700
営業時間/6:30〜18:00
定休日/木曜日
【MENU】
●バナーヌ……………………147円
●ミニクロワッサン(5コ) 130円
●バケット……………………252円
●パパンがパン屋さん………378円
●もちもちチョコ …………… 78円

学校給食のパン製造からスタート
アイディアいっぱいのパンが人気
■昭和20年代より パン製造をメインに
 いわきニュータウン、朝6時30分。まだ寝静まった街にパンの焼ける香りが広がる。「焼きたてのパンを食べてもらいたい」というオーナー・今井聖訓さんの考えで平成7年のオープン時から早朝営業の店としてスタートした。散歩をしながら立ち寄る人、ランチにと買い求めるサラリーマンなど、様々な人が店を訪れる。住宅街ならではの朝の日常がそこにあった。
 かつては初代・今井吉太郎氏が四倉の港の近くで魚の中卸業を営んでいた。当時は港も活況を呈していたが、太平洋戦争で商売も中断。戦後になってからは、アメリカから小麦が輸入されるようになり、パンを作る技術が広まった。初代もそこに目をつけ、二代目の新一氏を東京のパン製造の専門学校に進学させた。そして昭和27年、全国の小・中学校で学校給食スタートと共に、パン製造を業務の主体に据えた。コッペパンに揚げパンや黒糖パンが加わり、ピーク時には平から夜ノ森までの範囲の学校に1万5千食を納めていたという。昭和51年からは米飯給食が始まり、パン製造に加えてご飯も炊くようになった。
 来年から食料自給率アップと地産地消を目的に、県産の米を用いた米粉のパンが給食にお目見えする。現在、同社では福島県米粉ネットワークに加入し、米粉でパンを作る研究を重ねてきた。100%米粉を使うと、さめた時に固くなり、香りが損なわれてしまう。給食のメニューには米粉30%のパンからスタートするそうだ。
↑四倉海水浴場が近かったため、夏だけ工場前に売店があった(写真は昭和30年代)
■デパ地下から郊外へ グランターブルを開店
 学校給食と共に始まったパン製造であったが、「もっと多くの人に焼きたてのパンを食べてもらいたい」という思いから、三代目で現在のオーナー・今井聖訓さんが工場の前にベーカリーショップをオープンさせた。平成元年のことである。店の名前は〈パン・ド・カンパーニュ〉。フランス語で「田舎のパン屋さん」という意味だ。好きなパンを自由にトレイに載せて会計をする、今では当たり前のシステムが当時は珍しく、小さな店に連日たくさんのお客が訪れた。これを契機に翌年、旧大黒屋の地下に出店。店名を改め〈グランターブル〉とした。核家族化が進む中でも「大きなテーブル」を囲んで家族揃って食べて欲しいという願いがこめられている。そして、平成7年にはいわきニュータウン内に2店舗目を出店。大黒屋では倒産の半年前まで営業を行い、平成12年、一二三屋平店の駐車場に小屋のような小さな店舗をオープンさせた。こちらは朝7時からのオープンであったが、隠れた人気商品があった。それは、朝一番で店頭に並ぶ「目覚ましパン」。1個で充分朝食になりそうな大きなパンで、100円という原価ギリギリの価格で販売した。開店前から通学前の高校生が列を作っていた。現在は一二三屋改装に伴い、インストア店として営業を行っている。B
↑中央台店の厨房では、朝4時からパンづくりが始まる
↑それぞれのパンには「小麦粉」「ピーナッツ」などアレルギー表示がされている
■原材料費の高騰で 値上げも余儀なくされて
 いわきもここ数年間でベーカリーショップは飛躍的に増えた。また、コンビニエンスストアも増え、24時間パンが買える。そんな状況の中、さらに追い打ちをかけたのが昨年の小麦をはじめとする原材料費の高騰。例えばクルミに至っては3倍の金額となり、苦渋の思いで値上げをしたという。
 同店では間違いのない食材を吟味し、常に80種類程度のパンを製造販売している。作業は朝4時から始まり、各店舗で成形・焼きを行っている。ただし、食パンは工場で焼く。大きい釜で焼いた方が火の通りが良く、もちもちとしたパンに仕上がるという。モットーは「次の日食べてもおいしいパン」。酵母を加えた後、時間をかけて種を寝かせることで、固くならないパンに変化するのだ。最近では、毎週土曜日に天然酵母と県産の小麦を使った天然酵母パンを販売。クルミとレーズンのシンプルな味で大が441円、中が136円(チョコチップ入りは150円)。子ども達に人気なのが、アンパンマンやトトロなどのキャラクターパン(157円)。
 グランターブルももうすぐ20年。「パンを通じて会話が弾み、コミュニケーションが図れる商品と場を提供するため、将来的にはイートインの店にしたいんです」と今井さん。アイディアいっぱいの引き出しからは、次はどんなパンが生まれるのだろう?
↑フランス風でかわいらしいの外観のグランターブル中央台店

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