朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

HOMEこの逸品TOP>vol.79

vol.79
パティスリープルニエの
「モンブラン」
お店DATA
■パティスリー プルニエ
住所/植田町根小屋24-21
電話/0246-77-1155
営業時間/10:00〜20:00
定休日/火曜日
【MENU】
●ショートケーキ………………357円
●クレーム・ブリュレ…………368円
●フルーツタルト………………336円
●シュークリーム………………168円
●デコレーションケーキ………………5号2940円〜


たくさんの人に喜んで欲しいから
夫婦の強い絆で生まれる優しい味のケーキ
■喜んでもらえる幸せがケーキ作りの原点
 パリの街並みに似合うような佇まいの一軒家。その扉を開けると、甘い香りとショーケースに並ぶ宝石のようなケーキが迎えてくれる。厨房に立つのは、オーナーパティシエ・神永淳一さん(37歳)と奥様でパティシエール・佳奈さん。
 淳一さんの実家は植田駅前にある創業45年の〈梅の屋洋菓子店〉。お菓子の香りに包まれて育った淳一さんは、保育園の文集に「将来はお菓子屋さんになりたい」と書くほど自然に今の道を志していたという。高校卒業後、〈東京製菓学校〉に進学。接客から製造まで全てこなせるようになりたいと、有名店は避け、小さな個人店に就職した。出勤は朝の6時前、帰りは22時〜23時という毎日に辛いと感じることもあったが、一人前の職人になるため必死で技術を身に付けた。
 修業時代、今でも鮮明に覚えているのが、初めてお客様に作ったデコレーションケーキ。「HappyBirthdayとプレートを書いたお客さんの名前は忘れられません。誰かに喜んでもらえる事って幸せだなって、その時実感したんです」その気持ちは、今も忘れることなく、真剣に日々ケーキと向き合っている。
↑道路沿いにある洋風の可愛らしい建物。木の扉は、開ける瞬間ワクワクを誘う
■夫婦の絆で歩んでこれた道のり
 5年間の修行後、平成7年、25歳でいわきへUターンし、父親の店に入った。当時、地元では大きくて甘いケーキが主流だったため、都会で習得してきた洋菓子はなかなか受け入れられなかった。作業場も狭く、思うように作りたいケーキが作れない。そんなジレンマを抱えていた時に、「自分がいいと思うケーキを作りなさい」と父・敦さんが背中を押してくれた。そして、平成9年、現在の場所に店をオープン。店名は、〈梅の屋〉の名前に掛け、フランス語で「梅の木」を意味する「プルニエ」と名付けた。
 オープン時には専門学生時代の友人たちに加え、修業時代の店でアルバイトとして働いていた佳奈さんも手伝いに駆けつけてくれた。当時、大学生だった彼女もパティシエールの道を志し、ケーキに対する思いが同じだったことから意気投合。翌年夏に結婚し、パートナーとして店の一員となった。
 現在では県内外から客が来る人気店だが、ここに至るまで試行錯誤の連続だったという。店のメインにと掲げた商品だけが売れ、売りたい商品が売れない。お客様の要望にうまく応えられない。それでも、弱気になる度に支えてくれたのが佳奈さんだった。どんな小さな事でも2人で相談し合いながら、お互いを支え合い、夫婦二人三脚で一歩ずつ歩んできた。 
↑クラシックな雰囲気の店内。生菓子の他、マカロンなど焼き菓子も豊富
↑フルーツたっぷりのデコレーションケーキ。タルトやクラシックショコラも好評
■おいしさの秘訣は 誠意を込めて作ること
 この店で人気なのが「モンブラン」。メレンゲにアーモンドを加えたサクサクのシュクセ生地に、甘さ控えめの生クリーム、栗の渋皮煮をコロンと丸ごと入れ、その上から2種類の和栗ペーストを合わせたクリームをたっぷりと絞る。口に運ぶ瞬間、栗の香りがふんわりと広がる。また、「クレーム・ブリュレ」もおすすめ。パリッとしたカリカリのキャラメリゼと、牛乳を使用せず100%生クリームで作られたクリームの濃厚な味わいが多くのファンを魅了している。
 プルニエのケーキは、フランス洋菓子の基本を忠実に作られている。スイーツと称され、オリジナリティー溢れる商品がもてはやされる中、流行にとらわれることのないケーキ作りを一貫して守り続けてきた。また、混ぜるだけ、焼くだけの便利な材料が多く出回る中、全て1からの手作りを徹底している。例えば、パイ生地。最近では冷凍パイ生地を使う店も少なくないが、小麦粉とバターから何工程もある作業を惜しまず、ていねいに作りあげている。「手間をかけるのは当たり前。便利な物を使ったら誰が作っても一緒になってしまう。自分たちにしかできない味を提供したいんです」
 取材中、2人の口から、何度も「正直に」という言葉を聞いたのが印象的だった。お客様に正直に、お菓子に正直に、自分に正直に…。真っ直ぐ、正直に向き合って作られたケーキは、これからもたくさん「おいしい」の笑顔を咲かせていくだろう。
↑休日は食べ歩きをするという仲むつまじいお二人。1歳のお子さんを持つ

| お店の推薦・クチコミ投稿 | プライバシーポリシー | 広告掲載について | お問い合せ |
(C)image Co.,Ltd. All Rights Reserved.
有限会社いまぁじゅ