朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.83
割烹旅館天地閣の
「アンコウ鍋」
お店DATA
■割烹旅館 天地閣
住所/小名浜下神白字綱取143-23
電話/0246-53-3285
営業時間/11:30〜14:00/17:30〜20:00(昼、夜とも要予約)※夜の営業については問い合わせを
定休日/不定休
http://www.tenchikaku.jp
【MENU】
●アンコウ鍋(単品・2名〜)
…1人前3,500円
●アンコウコース
……6,000円(サ・税別)
●カニコース…6,000円(サ・税別)
●懐石膳…5,000円〜(サ・税別)

地産地消を大切にした料理
濃厚なスープが絶品の名物・アンコウ鍋
■食通からお墨つきをもらった地ものを大切にした味
 いわきのご当地鍋といえば「アンコウ鍋」。市内にもアンコウ鍋をふるまう店は数多くあるが、「日本一うまい」と全国の食通にお墨付きをもらっている店が〈割烹旅館天地閣〉である。小名浜港を見下ろす高台にあり、その眺望はもちろん、なんといっても料理の魅力が、お客を惹きつける。ここでは常磐沖で捕れた身が締まり、脂がのった最高級のアンコウのみを使用する。今では珍しくなった吊し切りという手法で捌き、ぬめりを十分に洗い、血抜きをする。素材をひきたてるのが「鍋タレ」。常磐の醸造元〈山吉味噌〉に特注で造ってもらった味噌をベースに西京味噌を加える。絶妙なコクと甘みを醸し出す特製合わせ味噌に、アン肝を炒ったものを混ぜ合わせる。そこに江名の〈山一中田商店〉のカツオブシを使ったダシ汁を加える。味噌と同量のアン肝を使う贅沢なアンコウ鍋は他に類をみない。肝、えら、ひれなど「7つ道具」と呼ばれる部位も入っており、その食感も楽しい。こだわりはアンコウだけではない。野菜も土からこだわって有機農法で栽培された地元産のものを使用。冬になるとアンコウ鍋を求めて市内はもとより遠方からもお客が訪れるのもうなづける。
↑料理長でもある大平均さん。小名浜を代表する顔でもある
■昭和43年開業 二代目に伝統を引き継ぐ
 創業者・大平武男さんは常磐の農家に生まれ、教師の道を志した。熱血先生の心の中には「いつか海の見える場所に自分の店を持ちたい」という夢があった。小名浜第一中学校で教鞭をとっていた時、今の土地が売りに出されることを知る。高台の頂上に立った瞬間「ここしかない」と田畠を売って土地を求め、割烹旅館を始めた。昭和43年のことだった。翌年、用途地域の変更が行われ、第二種住居専用地域となったため、既得権で営業は継続できたが、あと1年遅れていたら開業は難しかったかもしれない。住み込みの板前を雇い、実務は全て任せきり。自身は経理だけをした。店は繁盛していたものの、毎年持ち出しの経営が続いた。
 昭和52年、長女の淑子さんが結婚のためにいわきに戻ってきた。二代目となった大平均さんは東京出身。伊豆の旅館や料理店などで修行をし、確かな技術を身につけた。今までは海鮮を中心とした素朴な料理だったので、懐石を取り入れようとしたが、まず魚の違いに戸惑ってしまった。伊豆ではよく刺身として使っていたイサキやアジはあまり使われず、アイナメやカレイ、季節によってカツオやサンマも登場した。そのため、自ら市場に出かけたり、地元の漁師と情報交換をしたり、料理内容も少しずつ充実していった。また、淑子さんも女将として均さんを支え、明るくアットホームな接客は評判を呼んだ。
↑カニは地元・大徳丸が水揚げする活ズワイガニを使用。刺身や焼きで出される
↑まったりとコクのあるアン肝は、地酒と共に味わうのが何よりの贅沢
■姉妹店を出店するも1年半で閉店
 平成元年に全面改装を行い、本格的な懐石料理を始めた。要望があれば作っていたアンコウ鍋も15年程前から冬の宿泊や宴会プランの中心に加えた。主人自らが毎朝市場に出向き、厳しい目で魚を選ぶ。そこで初めて今日のおしながきが決まる。また、野菜も地元の生産者から直接買い付け、器にもこだわった。高校時代に共に美大を目指していた友人が陶芸家となり、彼の器も使っている。その他、料理に合わせ「青磁・土物・竹・木」、そして色も白・青・「黄・赤の交趾」揃えている。種類では有田・瀬戸・美濃・信楽・備前・洋皿・現代皿などを組み合わせて、料理をひきたてるものを選び、季節感あふれる盛りつけで五感を楽しませた。やがてテレビや旅行雑誌など多くのマスコミに紹介され、全国的にも有名になった。また、平成7年に公開された「釣りバカ日誌8」では〈天地閣〉でロケが行われ、主人自らも出演した。
 店の経営は安定していたが、年々小名浜港の魚の水揚げが減り続けた。地物を大切にしてきただけに、将来を憂い新しいジャンルにも挑戦しようと平成20年、〈小名浜美食ホテル〉2階に〈創作ダイニング舷genn〉をオープン。枠に捕われない手軽な料理をふるまったが、天地閣との両立は精神的にも肉体的にもきつく、また、オープン前のコンセプトとオープン後のズレにも疑問を感じ、1年半で撤退することに。今後は、蟹のパスタや地鶏料理など好評だったメニューを取り入れていく予定。他に春から「季節の弁当」も始める。「花見弁当」「法事の弁当」「ステーキ弁当」など、新しいメニューも登場する。
 いわきの大地や海が生んだ贈り物を、料理という形を通じて、人々に感動を与える。地産地消の本当の姿がここにあった。
↑港が一望できる絶好のロケーション。泊まりの場合は部屋食となる

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