朝日新聞のコミュニケーション誌「朝日サリー」  

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vol.86
はなよりだんごの「だんご」
お店DATA
■はなよりだんご
住所/平字大工町10-1 永島ビル1F
電話/0246-25-8336
営業時間/7:00〜18:00
(無くなり次第修了)
定休日/月曜日
【MENU】
●だんご各種………… 70円〜
●柏餅…………………100円〜
●おむすび各種………100円〜
●細巻き(2本入)……230円
●三色弁当……………400円

脱サラしてだんご屋を引き継ぐ
愛情いっぱいの手作りだんごとおにぎり
■サラリーマンからだんご屋のオーナーに転身
 ショーケースに並んだ色とりどりのだんごや和菓子。そして、種類も豊富なおむすびや太巻き。奥では夫婦が忙しそうに作業をしていた。「粉は生き物ですから、だんごはその日の気温や温度で練る時間や加水量を変えているんです」と話してくれたのが、ご主人の三瓶浩司さん(43歳)。
 以前は住宅関係の営業マンだった。東京でマンション販売の会社に就職。いわきにUターンして住宅メーカーに勤務し、奥様の敬子さんと出会って結婚。奥様は出産を機に退職した。
 住宅の営業は施主との打ち合わせや細かい見積もりなどで、帰宅時間が深夜を回る日も少なくはない。子どもと会えるのも休日だけで「じゃ、また来週ね」などという冗談のような会話も現実の話だった。
 そんなある日、「店舗を譲りたいという施主さんがいて次のオーナーを探している」と同僚から相談を受けた。それが〈はなよりだんご〉だった。平大工町の小さな店舗。奥さん一人でもできるかもしれない…と思った浩司さんは店を譲り受けることを決めた。そして時を同じくして、退職願いを提出した。当初、店は調理士免許をお持ちの敬子さんに任せ、自身は別な仕事に就くつもりだった。「一言も相談無しに『会社辞めたよ』って言われました。しかも電話で」と敬子さんは笑う。引き継ぎやレシピを習うために店に入って驚いた。とても一人でやりくりできる作業量ではなかったからだ。そこで急遽、夫婦揃って修行することになり、8ヵ月後の平成16年6月、店名もそのままで店を引き継いだ。
↑夫婦二人で作って販売している。お彼岸の頃は寝る間も惜しんでおはぎやおこわを作る
■朝7時に開店 手作りおにぎりが好評
 毎朝6時から仕込みを始め、7時にはオープン。出勤途中の会社員やOLが朝食やランチを買い求める。コシヒカリを使用したおにぎりは、もちもちとしていてショーケースにない時はその場で握ってくれる。しゃけ、こんぶ、明太子、ツナマヨ、梅おかかなど定番のほとんどが1個100円。「さめてもおいしいおにぎり」が店のモットーだ。巻物ファンも多く、一番人気はしいたけ巻(400
円)。肉厚のしいたけとかんぴょうを煮て、一緒に刻んだ具が太巻きの中に入っている。もちろん手作りである。
 8時を回るとだんごやおまんじゅうが売れ始める。だんごは毎朝ついて串にさす。柔らかいのにもちもちとシッカリ食感がある。みたらし、焼きは70円、あん、ごま、いそべ、ずんだ、七味は80円と手頃な値段も人気のひとつ。毎年2月にはバレンタインにちなんで、チョコだんごがお目見えし好評だ。
 「天気予報は1日に4〜5回チェックします。なるべくロスを少なくするためにね」。
 始めた頃は、どれくらい仕込んだら良いのか見当がつかなくて、早い時間に品切れになってしまうことも多く、お客さんに迷惑をかけてしまった。今は、天気予報のこまめなチェックでロスも少なくなってきたという。 
↑おむすびは辛し高菜100円がおすすめ。いなりずしは5個入りで300円。巻物は細巻230円〜
↑(手前)水まんじゅう200円、(奥左)わらび餅240円、(奥右)もちもちコーヒーゼリー210円
■お客さんとのふれあいが夫婦の原動力に
 前オーナーが4年、三瓶さんがオーナーになって6年が経った。営業マンとして18年のキャリアがあるだけに、接客はお手のもの。反面、テイクアウトの店だけにお客さんとゆっくり話せないのが残念なのだそう。お客さんとのエピソードも様々ある。芋ようかん(冬期限定)が大好きな奥様のために、2日に1回買いに来てくれたおじいちゃん。奥様が亡くなった後も「仏前にあげて、一緒に食べるんだ」と通ってくれた。受験勉強でおにぎりやのり巻きを夜食に食べ、見事志望校に合格。その報告をしに店に来てくれた時は、自分のことのように嬉しかった。そんなエピソードの一つひとつが、夫婦の原動力となっている。
 子どもは中学2年生と小学2年生の女の子が二人。「営業だった頃は、これが自分の生きる道だと思っていましたけど、今、家族揃って食事をしていると、一緒にいれる時間が家族の幸せなんだと実感しています」と浩司さん。運動会の日には店を臨時休業してまでも応援に行く程の、子煩悩ぶりだ。
 「これからもお客さんの立場に立って、おいしいと言ってもらえるような商品を作っていきたい」と話すご夫婦。家族の愛情がいっぱい詰まっただんごやおにぎりが、今日も誰かを笑顔にしてくれるのだろう。
↑ご主人の三瓶浩司さんと奥様の敬子さん。夕方にはショーケースが空になってしまう

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