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vol.251 東京電力女子サッカー部マリーゼ

「優勝」を目標に、最後まで諦めない
ピッチを駆け抜ける選手にエールを
■山あり谷ありの5年間 新監督の下で志気を上げる
平成17年2月、誕生した東京電力女子サッカー部マリーゼ。現在30名の選手が所属している。午前中に東京電力の事業所で勤務し、午後に専用のバスでJヴィレッジのグラウンドに集合して練習する。なでしこリーグでは唯一の「実業団チーム」である。かつては「YKKAP東北女子フラッパーズ」として、仙台を本拠地に活動をしていたが、東京電力に移管されることになり、16名の選手と共にJヴィレッジに本拠地を移した。初年度はディビジョン1で4位と好発進したが、翌年最下位(8位)に終わり、ディビジョン2へ降格。しかし平成19年には優勝し、平成20年よりディビジョン1で再スタートを切った。
 5年目となる今年から菅野将晃新監督を迎え、上位入賞を目指してプレナスなでしこリーグ2009を戦っている。開幕ゲームの湯郷ベル戦では4―2で勝利を飾った。第2節は優勝候補の一角でもある、浦和レッズをホームに迎えての試合となった。2、271名のサポーターが集結し、試合を見守ったが、惜しくも0―2で終了した。そして5月6日の第5節では昨年の女王ベレーザに1―0で勝利。強豪チームとも互角に戦い、最後まで試合を諦めずに必死にボールを追いかける姿には、今後の期待も十分に残されている。
↑4月19日にJヴィレッジで行われた第2節の試合。0-2と残念な結果に終わったが、強豪浦和レッズ相手に最後まで諦めずゴールを狙った
■ママさんボランチの宮本選手に聞く
7人の新メンバーのほとんどは平成生まれの若い選手。その中に、30歳のベテラン選手がいる。宮本ともみ、愛称はみっち。伊賀FCからの移籍で、ワールドカップやアテネオリンピック出場の経験を持つベテラン。しかも主婦であり、4歳の男子のママでもある。「年齢的にも選手生命が残り少なくなってきた中で、サッカーが集中できる環境にいたかったし、自分の経験を少しでも後身に伝えたかった」と移籍の理由を語る。神奈川県相模原市の出身。小学1年からサッカーを始め、地元のクラブチームを経て、高校卒業後、三重県伊賀市のプリマハムに入社。3年後チームが廃部となり、宮本さんを含む選手たちは退職を余儀なくされた。チームは伊賀FCとして再スタートしたため、昼間は市役所でのアルバイト、夜7時からグランドに集合し、2時間の練習に励む毎日。23歳で結婚をし、26歳で出産。育児休暇を取り、一時はサッカーを離れた。育児や家事に追われ、サッカーに対する情熱も次第に薄れていったが、周囲の期待もあり、1年3カ月後に復帰を果たした。現在、平日は息子さんを保育園に預け、仕事・練習に打ち込む。プレーではボランチとして攻撃の起点を務める。「マリーゼは施設・待遇共にとても良い環境です。それに応えるために、選手全員が意識を高く持って、結果を残さなければいけないと思います」と宮本選手。個人の目標としてはリーグ戦全試合に出場して、優勝を目指すこと。ママさんボランチは今日も軽やかにピッチを駆け抜ける。
↑マリーゼのサポーターの応援がスタジアムに響いた。サポータークラブ会員になると、開場30分前に入場できるなど、様々な特典がある
↑宮本ともみ選手
■目指せ優勝!菅野監督に聞く
「戦うからには優勝を狙いたい」と力強く語るのが、今年から就任した菅野将晃新監督。神奈川県出身。高校卒業後、古河電工サッカー部に入り、Jリーグではジェフ市原、京都パーブルサンガでMF・FWとしてプレー。平成7年に34歳で現役引退後はコーチや監督として指導に当たってきた。「女子サッカーは北京オリンピックでベスト4に入るなど、世界のトップを目指すほどレベルが上がってきている。そんな可能性を自分の手で伸ばしたかった」と意気込みを語る。マリーゼへの就任が決まり、昨シーズンの試合を何度も見た。前半は良い試合をしていても後半になると体力が落ち、失点が目立った。そこで今年はフィジカル面の強化に取り組んでいる。トレーニングメニューを工夫し、ビーチサッカーで足腰を鍛え、パワーを養う。「サッカーも毎日の歯磨きと一緒。毎日毎日練習で磨いて、ものになっていきます。チームとしてはビッグチャンスを作り、点につなげていきたい」。
 海(Marine)のように力強く、風(Breeze)のように颯爽と…今年のマリーゼから、目が離せない。

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